論文執筆時のチェックリスト by 高橋宏知(2014/1/27

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論文執筆時のチェックリスト

Scientific writingABC

o  Accurate

o  Brief

o  Clear

 

全体構造

o  全体を通して結論があるか (目的と結論の記述例)

   どういう目的で,どういうことを試みて,どういう結果を得たか

   結果は具体的,定量的に示されているか(単なる目的の繰り返しではない)

   結果に基づいて,どういう解釈ができるか

o  序論に目的が明示されているか

   「本研究の目的は,...」,「本研究では,...という仮説を検証する」,「本論文では,...を調べる(考察する,検証する)」など,論文の明示的な目的やねらいを一文で表現しているか

o  目的と結論が対応しているか(結論は目的を簡潔に繰り返した後,結果を記述すること)

 

章の構造

o  各段落の第一文を読めば,その章のストーリーがわかるか (序論と考察の記述例)

o  各段落の最終文を読めば,その章のストーリーがわかるか

o  各段落の主題は明確で,その順序,それぞれの関係性は適切か

o  各段落の最後の文と次の段落の最初の文のつながりは自然か

   前文(前段落)のキーワードを主語にする

   適切な接続詞で接続関係を明確にする(「そこで,ところで,したがって,さらに,しかし,特に,一方,...」)

o  一つの章は7段落まで.それ以上になる場合,節を作る.

 

段落の構造

o  段落の主題は明確か (序論と考察の記述例)

   一つの段落では,一つの主題について語る

o  第一文で段落の内容を推測できるか

   段落の重要なキーワードが含まれているか

   段落のキーワードは,その段落内で繰り返し使う

o  最終文で段落の主張がまとめられているか

o  各文の接続関係は明確か

   前文のキーワード(または,それを受けた指示語)を主語にするとよい

   適切な接続詞で接続関係を明確にする(「そこで,したがって,さらに,しかし,例えば,特に,すなわち,一方,なお,...」)

o  段落構造が明確か (トップダウン構造とボトムアップ構造の例)

   トップダウン構造(第一文に段落の主題)になっているか(トップダウン構造が基本)

   トップダウンになっていない場合,適切なボトムアップ構造か(事実から段落の主張を導出)

   提示する情報の順序は適切か

   逆接の接続詞が,段落内に二度以上,使われていないか

o  一段落に文は7つまで

   それ以上になる場合,段落を分ける.

 

文の構造

o  その文は本質的に必要か

   伝えるべき重要情報が一つあるか.

   重要情報が複数の場合,文を分けたほうがよい

   一文が長すぎないか.複数の文に分ける余地はないか

   重要情報のキーワードは文頭にあるか

   文脈上,唐突ではないか(前文のキーワード,または,適切な接続詞)

o  主語が明確か,かつ,適切か

   主語が重要なキーワードになっているか.他に主語になり得る単語はないか

   主語につく助詞は「は」,「が」,「も」,「こそ」.

   上記の助詞は主語以外では使わない.ダメな例:「ゾウは鼻が長い」

   受動態の場合,能動態で表現できないか

   英語の場合,主語と動詞はできるだけ近づける

o  修飾・被修飾語の関係が明確か (推敲例)

   一意にとれるか

   読み返す必要がなく,一度読んで理解できるか

   修飾・被修飾語が離れすぎていないか.もっと近づけられないか

   多重構造,入れ子構造になっていないか

o  全ての表現は,一意に理解できるか

   専門用語,略語は定義したか

   曖昧さはないか:「ほとんどの試料では,」→「94%の試料では,」

   比較対象が示されているか?ダメな例:「より早く」

o  最も簡潔に書かれているか

   単語数を減らせる余地はないか

   必要以上に難しい単語を用いていないか.もっと簡潔な言い方はないか

   不要な(文学的な)表現を用いていないか

   冗長表現は避ける

   曖昧になりうる表現は避ける:「〜おいて,〜関して,が可能である,実施した」(推敲例)

o  すぐに英語に直せるか

o  時制は適切か

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